歪み波形 / オペアンプ編
測定系
手持ちのオペアンプの歪み波形を
下の図のゲイン 20.0dB の非反転増幅回路で測定しました。
- 出力電圧 5.7 Vrms
- ゲインが + 20.0 dBの非反転増幅回路
- 負荷は帰還抵抗 (2.7k + 300 ohm ) と並列にノッチフィルタの入力インピーダンス 約 3k ohm。
- 電圧源 (A) は正弦波発振器(約 10Vrms)にの出力にリーダーのアッテネーター(600Ω)を接続したものを表わしています。
測定結果の見かた
発振器とフィルタを直接接続したとき(負荷 600ohm)のデータを元に説明します。
下の図(waveform)はオシロスコープの管面を PC に転送したもので、
CH1 がオペアンプの出力波形、CH2 がオペアンプの入力波形です。
図中の青文字はコメントです。
コメントに 100dB などと書いてありますが、
これは歪み測定用ノッチフィルタのゲインです。
また、Vrms(1)=89.12mV Vrms(2)=8.372V とありますが、
これはオシロスコープのリードアウト機能により読み取った電圧です。
よって、これらの値から歪み率は 89.12mV / 8.372V / 100dB = 0.000027% と
計算することができます。
ただし、管面の右上に "Av" という表示に注意してください。
これはいくつもの波形(主に256回)をメモリーにためて
加算平均(Averaging)処理していることを表わしています。
これにより、これによりノイズが1/√256 になり歪み成分がよく見えるように
なりますが、通常測定される THD+N とは測定値が異なってしまいます。
そのため、Averaging 処理を行っている場合には THD+N も並記してあります。
下の図は上の図をFFT(Fast Fourier Transfer) したものです。
横軸は周波数なので、2kHz, 3kHz といった歪み成分がどのくらいの大きさなのか、
一目瞭然に分かります。
歪み率を計算するには、
waveform から入力電圧を求めたあと(この場合は 8.372V-> 18.5dBV)
例えば 2kHz の歪み率は -23.4dBV - 18.5dBV - 100dB = -141.9 dB
と計算できます。
測定結果
計測ミスにより オペアンプの歪み率は 1.3 倍ほど大きくなっています。
値はそのまま書いているので、正確には 歪み率は 2.2dB ほど改善されるはずです
(後日、測定し直す予定)。
オーディオ用とされるものはだいたい歪み波形がなめらか(低次の歪みが主体)に
なっているようです(例外あり)。
- 発振器とフィルタを直接接続したとき(負荷 600ohm)
waveform
FFT
- 歪み率 0.000011 % (-139.5dB), THD+N = 0.000027%(-131dB)
負荷が軽いと歪み率はもっとよくなります。
- NJM072
waveform
FFT
- 歪み率 0.0031 % (-90 dB)
J-FET入力 汎用
- NJM2068
waveform
FFT
- 歪み率 0.00061 % (-104dB)
GB 積が大きい
- NJM2114
waveform
FFT
- 歪み率 0.0012 % (-98dB)
オーディオ用 高出力
- NJM4556
waveform
FFT
- 歪み率 0.00019 % (-114dB) , THD+N = 0.00023% (-112 dB)
ヘッドフォンもドライブできる。ノイズが多め。
- NJM4588
waveform
FFT
- 歪み率 0.0024 % (-92 dB)
汎用
- CXA4559
waveform
FFT
- 歪み率 0.0014 % (-96dB)
4588 の GB 積を 2 倍にしたもの
- NJM4580
waveform
FFT
- 歪み率 0.00040 % (-108 dB)
オーディオ用。リードが OFC らしい
- NE5532 (TI)
waveform
FFT
- 歪み率 0.00050% (-106dB)
オーディオ用。技が詰まっているらしい
- AD711
waveform
FFT
waveform
- 歪み率 0.0016% (-96dB)
J-FET
- HA17742 (日立製 uA741)
waveform
FFT
- 歪み率 0.0070% (-83dB)
uA741 の互換品。セラミックパッケージなので買ってしまった。
- LF356
waveform
FFT
- 歪み率 0.00031 % (-100dB) , THD+N = 0.00037% (-108dB)
J-FET
- LM318
waveform
FFT
- 歪み率 0.00020 % (-114dB) , THD+N = 0.0011% (-98dB)
高速オペアンプ
- NE5534 シグネティクス
waveform
FFT
- 歪み率 0.00020 % (-114dB)
オーディオ用
- OP07
waveform
waveform
FFT
- 歪み率 0.015 % (-76dB)
計測用。1kHz を通すには無理があるかも。バイアス電流キャンセル回路付き。
- OPA37 (BB)
waveform
FFT
- 歪み率 0.00006% (-124dB), THD+N = 0.00009% (-120dB)
高精度、高速。バイアス電流キャンセル回路付き。
- OPA604
waveform
FFT
- 歪み率 0.0028 % (-91dB)
オーディオ用。J-FET。割と歪みは大きい。
データシートでは、音質のためには歪みの大きさより伝達関数に効く部分に J-FET を使うことが重要なんだと書いてある。
- TL081
waveform
FFT
- 歪み率 0.0045% (-87dB) 5次高調波が一番大きい!
J-FET 汎用
- AD OP-27G
waveform
FFT
- 歪み率
- AD797AN
waveform
FFT
- 歪み率 0.000018% (-134.8dB) THD+N = -112dB
超低歪み、超低雑音品種.
600Ωのアッテネーターは発振器の残留歪み率が悪化するので、かわりに10kΩの金属被膜抵抗をオペアンプの入力と直列に接続した(入力信号は10kΩとテストボードの入力抵抗の600Ωによって-24.9dB減衰する)。
Last modified: Thu Dec 25 20:12:43 JST 1997